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インドネシア介護福祉候補者日本語で堂々の司会とスピーチ 第59回四国老人福祉施設関係者研究大会「介護現場革命―現場力で介護を変える」

 

負担の少ないやさしい介護で明るい介護現場づくりを


第59回四国老人福祉施設関係者研究大会が、四国四県から約1,200名の参加者を集めてアスティとくしまで開催され、健祥会・緑風会の施設からも、たくさんの職員が参加しました。

1日目全体会では、全国老人福祉施設協議会中田清会長より、「魅力ある職場づくり、サービスの質、専門性の向上を図るとともに、42万人の待機者解消など、諸問題解決に向け、現場の声を力強く発信していこう」との基調講演がありました。

続いて、北欧式トランスファーテクニックを日本に紹介する小島ブンゴード孝子氏による「負担の少ないやさしい介護とは?〜北欧式トランスファーテクニックに学ぶ」と、田村静子氏による「明るい介護現場づくり〜あなたもできる介護労働環境整備〜トランスファーテクニックに学ぶ」の二つの講演に学びました。

小島ブンゴード孝子氏 田村静子氏
小島ブンゴード孝子氏 田村静子氏

全体会や懇親会の司会を務めたのは、特別養護老人ホーム水明荘のディディンとフィトリ。ディディンは落ち着いた堂々とした司会進行で、フィトリはインドネシアの民族衣装とにこやかなホスピタリティで、見事に大役を果たしました。


「日本の介護は高齢者の命と尊厳を守ること」
老人保健施設ジャンボ緑風会介護職員ワヒューディン

2日目は8つの研究部会と特別部会で、それぞれのテーマごとに、研究発表や講演が行われました。第3研究部会「人材育成と現場リーダーの取り組み〜外国人受入現場レポート」では、老人保健施設ジャンボ緑風会のワヒューディンが、特別養護老人ホーム緑風荘施設長 の研究発表に続き、「日本の介護は高齢者の命と尊厳を守ること」と題して15分にわたってスピーチ。「ありがとう」をつくる介護の仕事に従事できることの喜びと誇り、日本の介護がグローバルとなることへの期待などを語るとともに、日本人でも50%の合格率しかない国家試験に1回のチャンスしか与えられない現状への不安などを訴え、来設以来1年半がたった今の自らの思いを、流暢な日本語で力強く語りました。

感動のスピーチに、私たち日本人の職員はすばらしい仲間を得た喜びを感じるとともに、彼らを本当に誇りに思います。彼らの素直でやさしい心が、日本人職員に気づき と刺激をもたらし、健祥会・緑風会は明るい協同職場となっています。専門性はさらに高く、心はあたたかく、最高の介護サービスで地域の皆様をお支えしてまいります。


「重度化・看取りケアへの対応」をテーマに行われた第5研究部会では、特別養護老人ホーム水明荘の寺尾由美施設長が発表を行いました。

「重度化・看取りケアへの対応」
特別養護老人ホーム水明荘施設長寺尾由美

●モデル事業について

平成21年、かくたん吸引(口腔内)・経過栄養(胃ろう)を特養ホームの介護職員が行うことを認めるためのモデル事業が実施されることとなり、水明荘も徳島県におけるモデル事業実施施設として、9~12月の4ヶ月間にわたって取り組んできました。水明荘では、研修など、一定条件を満たせば実施可能という結果を得ており、そのプロセスと結果について、施設長寺尾由美が発表しました。

「取り組みの結果、介護職は衛生管理にも十分配慮し、安全かつ適切に医行為が行えるようになり、確実に介護技術のレべルアップにつながった」とし、プロセスをステップごとに解説。「看護・医療の基礎業務を介護福祉士の業務領域として、『職』の守備範囲の拡大をすすめ、新しい職権域の中で高い専門性を発揮することにより、利用者様の安全安心に資するとともに、介護職の地位向上につなげたい」と発表をしめくくりました。

水明荘をはじめ、全国でのモデル事業の分析・評価により安全性が確認され、平成22年度から実施可能となっています。

*介護職の医行為について

入所者様の安全やご家族の安心を確保するためには、24時間体制の中で介護職による医療行為が不可欠であり、健祥会グループ中村博彦理事長は平成16年より、実現に向けて取り組み続けてきました。平成17年7月、専門的な管理の必要ない爪切りや耳垢の除去、自動測定器による血圧測定などの11項目は医行為に該当しないとの厚労省医政局長通知を引き出すなど、着実に進展していました。

今後は、看護・医療の基礎業務を介護福祉士の業務領域として、その専門性を強化することが求められます。

●看取りケアについて

終末期の苦痛を緩和し、残された時間を可能な限り尊厳をもって、安らかな最期を迎えていただくために、職員の専門性や知識レベルの向上はいうにおよばず、人間性を陶冶し、人生観、人間観、死生観などを涵養することが求められます。本当に利用者様やご家族に満足していただくことができたか・・・看取りケアに正答はありませんが、今後ますます重度化するであろう特養においては、重要度を増してくることは間違いありません。寺尾施設長は看取り事例の紹介を交えながら発表し、「職員全員が看取りに対しての理念を共有し、質の高い、心のこもったサービスが提供できるよう、努力していきたい」と結びました。

[記事公開日]2010/07/18(日)
[最終更新日]2018/10/31(水)

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